【ロシアの“ゾンビ戦車”が戦場へ】質よりも量を優先、戦車供給から見るプーチン・ロシアの今
プーチンのロシア2024年4月19日
【ロシアの“ゾンビ戦車”が戦場へ】質よりも量を優先、戦車供給から見るプーチン・ロシアの今 服部倫卓( 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授) Tweet 印刷画面「ガールズ&パンツァー」、通称「ガルパン」という日本のアニメ作品がある。ウィキペデイアの説明を引用させていただくと、「戦車同士の模擬戦が伝統的な女性向けの武道として競技化され、戦車道と呼ばれて華道や茶道と並ぶ大和撫子の嗜みとして認知されている世界を舞台に、戦車戦の全国大会で優勝を目指す女子高生たちの奮闘を描くオリジナルアニメ。兵器である戦車を女子高生たちが運用するという、男性のアニメファンにアピールするようなミリタリーと萌え要素を併せ持ちつつも、死者の出ない戦闘とスポーツものの約束事を踏襲した物語が描かれ、戦争と死といった背景から切り離された戦車戦を描いている」。
個人的には、この作品をごく断片的にしか観たことがないのだが、戦車同士が実戦さながらに砲撃を交わしながら、不思議と死傷者は出ない設定になっているようである。
思えば、我が国においては、戦乱の時代が去り、太平の世となった江戸時代以降に、戦闘の技術や精神を純化・様式化させる形で、武道が確立されていった。それと同じように、ガルパンも戦争のない平和な世界を前提として、殺傷を伴わない武道としての戦車競技を描いているのだろうと、推察する。
逆に言えば、今日のように、戦車による破壊と殺戮が毎日のようにニュースで流れる時代状況だったら、ガルパンのような作品は生まれていたかどうか。いや、実際には戦争はいろんな形でずっと続いてきたわけだが、少なくとも、戦車同士が正面からぶつかり合って命をやり取りするような古典的な戦争は過去のものというイメージが、しばらく前まではあったように思う。だからこそ、ガルパンの世界観は成立していたのではないか。
ロシア・ウクライナ戦争には、二面性があると思う。確かに、ドローン戦など、「新しい戦争」の要素も重要になっている。その一方で、「古い戦争」、すなわち戦場で野戦軍同士がぶつかり合うという古典的な戦争の様相も、非常に色濃い。
戦車メーカーを訪問するプーチン大統領。その”戦車非道”とは?(代表撮影/ロイター/アフロ) ギャラリーページへプーチン政権のロシアが仕掛けたのは、戦車道とは対極の、戦車非道、戦車邪道と呼ぶべき所業である。それだけ、プーチンはとんでもない時代錯誤を始めたということだろう。
ただ、国際社会から2万件近い経済制裁を科せられているロシアが、いつまでもこんな無茶を続けられるものだろうか。本稿では、戦車の供給体制という観点から、考察を試みてみたい。
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