【現代語訳付き】『おくのほそ道』「序文」全文を超わかりやすく解説|意味・背景も
『おくのほそ道』の冒頭は、松尾芭蕉が旅に立つ前の気持ちを記した部分です。
「冒頭」「旅立ち」「序文」「漂泊の思ひ」「発端」「出発まで」などさまざまなタイトルが付けられています。
今回はそんな『おくのほそ道』序文の読み方をていねいに解説します。中学古文をおさらいしたい方にもぴったりの内容になっているのでぜひ最後までご覧ください!
▼おくのほそ道の概要
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- おくのほそ道「冒頭」
- おくのほそ道「序文」2
- おくのほそ道「現代語訳」
- おくのほそ道「序文」まとめ
おくのほそ道「序文」全文
『おくのほそ道』をなるべく原文に寄せて序文の全文まとめました。
月日ハ百代(はくたい)の過客(かかく)にして 行かふ(こう)年も又旅人也
舟の上に生涯をうかへ 馬の口とらえて老を むかふる物ハ 日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死せるあり
予もいつれの年よりか 片雲(へんうん)の風にさそハれて、漂泊の思ひやます 海浜(かいひん)にさすらへ、 去年(こぞ)の秋 江上(こうしよう)の破屋(はおく)に 蜘の古巣をはらひて やゝ年も暮 春立(たて)る霞(かすみ)の空に 白河の関こえんと そゞろ神の物に徒(つ)きて心をくるハせ 道祖神(どうそじん)のまねきにあひて 取(とる)もの手につかず。
もゝ引の破(やぶれ)をつゞり笠の緒付かえて 三里に灸すゆるより、松嶋の月 先(まず) 心にかゝりて 住(すめ)る方ハ人に譲り 杉風(さんぷう)が別墅(べつしよ)に移るに
〈草乃戸も 住替る代そ ひなの家〉
面(おもて)八句を庵(いおり)の柱に懸置(かけおく)
おくのほそ道「冒頭」
月日は百代(はくたい)の過客(かかく)にして、行かふ(こう)年も又旅人也。
百代(はくたい)=永遠
過客(かかく)=旅人
=月日は永遠の旅人のようなものであり、過ぎては来る年もまた旅人のようなものである。
→人生そのものが旅のようなものである
舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふるものは、日々旅にして旅を栖(すみか)とす。
舟の上に生涯を浮かべ=船頭のこと
馬の口とらへて老いを迎ふるもの=馬子(馬方)のこと
栖(すみか)=住まい
=船頭や馬子は、日々が旅であり、旅そのものを住まいとしている。
古人も多く旅に死せるあり。
古人=昔の詩人
=昔の詩人も旅の中で亡くなった人が多くいる。
古人とは誰のことか?
李白(りはく):唐の詩人
杜甫(とほ):唐の詩人
西行(さいぎょう):平安時代末期の歌人
宗祇(そうぎ):室町時代の連歌師
おくのほそ道「序文」2
予もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風にさそはれて、
片雲=ちぎれ雲
=私もいつの年からか、ちぎれ雲が風に誘われていくように、
漂泊の思ひやまず、海浜(かいひん)にさすらへ、
漂白=あてもなく旅をすること=さすらい
=あてもなく旅をしたいという思いを止めることができず、海浜をさすらい、
去年(こぞ)の秋、江上(こうしよう)の破屋(はおく)に蜘の古巣をはらひて、
河上の破屋=川のほとりの粗末な家=芭蕉の家
=去年の秋、川のほとりの粗末な家に帰って、くもの古巣を払って住んでいたが、
やゝ年も暮、春立(たて)る霞(かすみ)の空に白河の関こえんと、
やや=やがて
立てる=①春が立つ(立春)②霞が立ち込める
白河の関=現福島県にあった東山道の関所
=やがて年も暮れ、春霞が立つ空のもと、白河の関所を越えようと思って、
そゞろ神の物につきて心をくるはせ、
そぞろ神=人の旅心をそそのかす神
物につきて=乗り移って
=そぞろ神が乗り移って心をソワソワさせ、
道祖神(どうそじん)のまねきにあひて、取(とる)もの手につかず。
道祖神=旅の安全を守る神
=道祖神が手招きしているような気がして取るものも手につかない。
→旅がしたくてたまらない!!
もゝ引の破(やぶれ)をつゞり、笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより、
=股引きの破れをつづって、笠のひもを付け替えて、ひざの三里に灸を据えた頃から
→旅の準備をしている
松島の月先(まず)心にかゝりて、住(すめ)る方は人に譲り、杉風(さんぷう)が別墅(べつしよ)に移るに、
心にかかりて=気にかかって
住めるかた=住んでいた家
杉風(さんぷう)=弟子の名前
=松島の月がまず気にかかって、今まで住んでいた家は人に譲って、杉風の別荘に移ると、
〈草の戸も 住替る代(よ)ぞ 雛の家〉
草の戸=茅葺の家=河上の破屋=住めるかた→芭蕉の家
雛(ひな)=ひな人形
=このわびしい茅葺の家も住む人が代わる時節となったことだよ。この家にも3月の節句には、華やかにひな人形が飾られる光景が見られることだろう。
面(おもて)八句を庵(いおり)の柱に懸置(かけおく)。
面八句=俳諧の連句百句を2つ折りにした懐紙4枚に書くとき、1枚目の表側に記す八句のこと
=面八句を、庵の柱に掛けておいた。
おくのほそ道「現代語訳」
月日は永遠の旅人のようなものであり、過ぎては来る年もまた旅人のようなものである。
船頭や馬子は、日々が旅であり、旅そのものを住まいとしている。
昔の詩人も旅の中で亡くなった人が多くいる。
私もいつの年からか、ちぎれ雲が風に誘われていくように、あてもなく旅をしたいという思いを止めることができず、海浜をさすらい、去年の秋、川のほとりの粗末な家に帰って、くもの古巣を払って住んでいたが、やがて年も暮れ、春霞が立つ空のもと、白河の関所を越えようと思って、そぞろ神が乗り移って心をソワソワさせ、道祖神が手招きしているような気がして取るものも手につかない。
股引きの破れをつづって、笠のひもを付け替えて、ひざの三里に灸を据えた頃から、松島の月がまず気にかかって、今まで住んでいた家は人に譲って、杉風の別荘に移ると、
<このわびしい茅葺の家も住む人が代わる時節となったことだよ。この家にも3月の節句には、華やかにひな人形が飾られる光景が見られることだろう。>
面八句を、庵の柱に掛けておいた。
おくのほそ道「序文」まとめ
『おくのほそ道』の序文を現代語訳付きで分かりやすく解説しました。単語の意味や背景が分かるとかなり読みやすくなると思います。
松尾芭蕉の生涯やおくのほそ道のルート、解説などは別記事にまとめる予定です。
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