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トヨタはなぜ人型ロボットを開発するのか 支流が本流になる トヨタ自動車のヒューマノイドロボット(上) 2025年08月23日 テクノロジー

シュートを決めたバスケットボールロボット「CUE(キュー)」

失敗重ね、テクノロジーを把握

トヨタ自動車がヒューマノイド(人型)ロボット技術を追求している。自動車業界王者のトヨタがなぜ、ロボットを開発するのか―。そこには前例がないことに挑戦する技術者の探究心や、それを許容する企業の体力、経営の意思がある。単なる生産現場における人の代替だけでなく、人の心を動かすようなロボットを開発することがトヨタが目指す「幸せの量産」につながると、視野を広げ視座を高める。(2回連載)

7月中旬の大阪・関西万博。炎天下の中、多くの人が行き来するパビリオンに交ざり、トヨタやファナック、安川電機など国内の大手企業が開発した多様なロボットが集う企画展「未来づくりロボットWeek」が期間限定で開催された。トヨタは未来創生センターが手がけたAI(人工知能)でゴールまでの距離を計算し、100%シュートを決めるバスケットボールロボット「CUE(キュー)」や流ちょうな会話を実現するコミュニケーションロボット「トミーくん」を出展した。

CUEは2017年に「AI(人工知能)の素人がゼロからロボットを作る」をテーマに、トヨタ技術会という社員の同好会から生まれたものだ。開発を進め、まずは2―3メートルのシュートを決められる精度だったが、これがハーフコートに拡大。ドリブルも可能になった。プロバスケットボールチーム「アルバルク東京」の一員にもなり、東京オリンピックではシュートを披露。ロングシュートのギネス世界記録を獲得するほどに名を挙げた。

こう記すと順風満帆のようだが、「首の皮一枚でなんとか続けてきた」と振り返るのは、発足当初から同プロジェクトをけん引する未来創生センターR―フロンティア部の野見知弘主査だ。現状は6世代目だが、2世代目の「CUE2」発表会ではボールを投げる際にロボットの首が弾け飛ぶという大失敗に見舞われた。当時は社内でも「トヨタの品質のイメージが悪くなる」という否定的な声が上がっていたという。

逆風の連続だったが「(豊田)章男社長(現会長)が前例がないことに挑戦し、バッターボックスに立ち続けろと許容してくれた」と野見主査は語る。

年間数兆円の営業利益を稼ぐトヨタでもロボットは本流とは言えない。利益に結びつくかも不透明だ。一般的に基礎研究は企業に体力がなくなると縮小されるケースが多い。「続けられたのは会社やトップのおかげ。テクノロジーを手の内化し、CUEが日本やバスケ界のためになれば、いずれトヨタのためになる」(野見主査)と前を向く。

足元では「手触りのあるモノづくりができる」として、CUEの開発現場は社内でも人気を博している。また、SNS(交流サイト)で再生回数が多いCUEは「車とは別のトヨタを知る入り口」(広報部)となっている。

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