印刷の「ドットゲイン」とは何か? 印刷結果の濃さに関係するもの
オフセット印刷の話で、よく「ドットゲイン」という言葉を耳にします。 ただ、オフセット印刷はデータをRIPに送って刷版を出力してオフセット印刷機で印刷し、色々な機械を通って完成するので、「ドットゲイン」も少し理解しにくいです。
カラー印刷の場合、データを作る人はドットゲインのことを意識しなくてもJapan Color 2001 Coatedなどにプロファイル変換するとある程度はうまく行きます。 しかし、モノクロ印刷の場合はデータを作る人がドットゲインを考慮しないと希望通りには印刷できません。
目次- ドットゲインとは 印刷の網点が元のデータより印刷結果の方が大きくなる
- 実際にドットゲインを測ってみる
- Photoshopなどで50%の網を作ってみる
- RIP、CTP、印刷機を経て印刷される
- 紙に印刷された四角形の網点%を測る
- 引き算すればドットゲインが分かる
- ドットゲインが分かったら、意図通りの濃さに印刷できる
- ドットゲインが分からないと、薄くなったり濃くなったりする
- Aさんに印刷を頼むときは網点が20%太ることを考慮すれば良い
- 実際の作業
- 印刷する紙によってドットゲインは変わる
ドットゲインとは 印刷の網点が元のデータより印刷結果の方が大きくなる
例えば、Adobe® Photoshop®かAdobe® Illustrator®で、黒で50%の濃さの四角形を作ります。
データ上の理屈上の網点の大きさそのままなら、下図のような濃さに見えます。 (※PhotoshopやIllustratorはカラー設定の内容に基づいてドットゲインを再現して表示するので、50%を指定すると実際はもっと濃く見えます。)
理屈上の50%の網点の濃さ
この50%の濃さの四角形を、紙にオフセット印刷してみます。 すると、網の点をレーザーで刷版に焼いたり、印刷機で刷版から紙に印刷したりするうちに、点が少し大きくなります。
印刷結果は、点が大きくなった分、理屈上の50%の網点の濃さよりも濃く見えてしまいます。 下図は点の面積が15%くらい大きくなった場合の濃さです。
点が15%くらい大きなった場合の50%の網点
このようにデータの網点の面積より印刷結果の網点が大きくなって濃くなる現象や網点の面積が拡大した値がドットゲインです。
スポンサーリンク実際にドットゲインを測ってみる
実際にドットゲインを測ってみましょう。
Photoshopなどで50%の網を作ってみるまず、例えばPhotoshopで、グレースケールの新規ドキュメントを作ります。
そこへ、K50%の四角形を描きます。
このデータを印刷してくれるAさんに渡します。
RIP、CTP、印刷機を経て印刷されるデータがRIP、CTP、印刷機を経て印刷されますが、ドットゲインがどうなるかはこれらの設定や状態次第で色々に変わります。
ややこしいので、今は「RIP+CTP+印刷機」で1個のインクジェットプリンターだと思ってください。
データ→【インクジェットプリンター】→印刷結果 データ→【RIP+CTP+印刷機】→印刷結果作ったデータが【RIP+CTP+印刷機】に入って印刷されてきます。
紙に印刷された四角形の網点%を測る先ほど自分で作ったK50%の四角形が印刷されてきました。
紙に印刷された四角形の網点%を測ってみます。
ただ網点をルーペで見ても、点が並んでいるだけで一体何%か分かりません。 網点%を測れる測定器があり、それを使うことで網点%が分かります。
測った結果、網点%が70%だったとします。
参考 ドットゲインを測定できる機器の例
- エックスライト SW12838324 eXact ベーシック(アパーチャー4.0mm/ Bluetooth無)(NGHXRN40J)
参考リンク
ポータブル型・小型分光測色計eXact シリーズ|X-Riteポータブル型・小型分光測色計eXact シリーズは、印刷や製造業界での色管理において精度と信頼性の高いモデルです。用紙とフィルムを正確に一貫して測定し、簡易な濃度計から高度な機能が備わった、業界トップクラスの分光測定装置です。www.xrite.com 引き算すればドットゲインが分かる画像データ上のK50%の濃さの四角形が、印刷結果の紙では70%の濃さの四角形になりました。
よってドットゲインは70%ー50%を計算して、20%です。
スポンサーリンクドットゲインが分かったら、意図通りの濃さに印刷できる
ドットゲインが分かったからといって、何か良いことがあるでしょうか。
ドットゲインが分かると、自分の意図通りの濃さに印刷することができます。
ドットゲインが分からないと、薄くなったり濃くなったりするもしAさんに印刷を頼んだときのドットゲインがわからなかったとします。
50%で塗って、絶妙な濃さだ、と思ってAさんに印刷を依頼します。
Aさんが印刷してくれると、70%で印刷されて、思っていたより濃くなってしまいます。
Aさんに印刷を頼むときは網点が20%太ることを考慮すれば良いドットゲインが20%だと分かっていれば、網点が20%太ることを考慮してデータを作ってAさんに渡せば、思った通りの濃さで印刷されてきます。
以下に、ドットゲイン20%の条件で印刷する場合の、データの作成、変換方法を述べます。
実際の作業Photoshopで、グレースケールの画像を作成します。 キャリブレーションしたモニターの見た目を頼りに、絶妙の濃さの画像に調整します。
この画像を[ 編集 > プロファイル変換 ]で、「Dot Gain 20%」にプロファイル変換します。
そうすると、網点が20%太ったときにちょうど良い濃さになるように網点%が変換されます。
あとはAさんへデータを渡して印刷してもらいます。
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ただし、ディスプレイを見てデータの濃さを絶妙に調整するには、モノクロ画像であってもやはりディスプレイのキャリブレーションをとっておく必要があります。
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なお、同じ工場の同じ印刷設備を使って印刷しても、用紙が変わるとドットゲインも変わります。
コート紙のように表面をコーティングされている用紙はインクが浸み込みにくいのでドットゲインは小さくて済みます。 一方、上質紙のようにコーティングされていない用紙ならコート紙などよりもインクが染み込むので、ドットゲインも大きくなります。
よって、同じAさんの工場で印刷してもらったときのドットゲインは、用紙毎にそれぞれ測る必要があります。
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